★あらすじ
横暴な地主フョードル・カラマーゾフには3人の息子がいた。
長男のミーチャは天衣無縫な退役軍人。
次男のイワンはシニカルで無神論者のインテリ。
三男アリョーシャは清純で愛らしい修道士見習い。(主人公)
フョードルとミーチャは、グルシェーニシカという妖艶な美女を巡って争っていた。
フョードルは、グルシェーニシカに、
「自分と結婚してくれるなら三千ルーブルをやろう!」
と言い出し、自宅にそのお金を用意して、グルシェーニシカを待つ。
そんなある夜、フョードルが殺され、三千ルーブルが奪われる。
状況証拠はミーチャを犯人と指し示すが、果たしてそれは真実なのか?
★感想
ずーーっと読んでみたかったけれど、長さと内容にひるみ続けていた『カラ兄』やっと読破しました(;´Д`)'`ァ'`ァ
勝手に創作の師のひとりと仰いでいる村上春樹氏なんかは、
「本を読む人には2種類ある。『カラ兄』を読んでいるか、読んでいないかだ」
とまでおっしゃっている大名作なわけで、やっぱこりゃ読まないわけにはいかんだろうと、ずっとひっかかっていた作品でもあります。
大変評判の良い、光文社古典新訳文庫版(全4巻+エピローグ別巻)が完結したタイミングと、自分の入院予定がちょうど合致したってのもありまして(爆)いよいよ手を出しました。
いやいや評判通り、さすが新訳と謳うだけのことはありますよ! 何と読みやすい!!
それでも読破に半年近くかかりましたけどね(^_^;)でも主にひっかかってたのは別巻の「解題」で、本編は結構サクサクいけます。(もちろん半年間こればっか読んでたわけじゃないッスよ)
そして何よりありがたかったのが、しおりの登場人物表!(ミステリの文庫に良くあるヤツです)でも、それでも混乱しそうだったので、オリジナル人物相関表を作りながら読みましたが。なんでロシア人の愛称って、本名とあんなにかけ離れてるんでしょうね。ぶつぶつ。
ところで、上記のあらすじを読むと、
「ミステリなの?」
と思われる方が多いでしょう。(要約が怒られそうなくらい簡単すぎるってのもありますが_| ̄|○)
ええ、確かにストーリーはミステリです。どりもミステリとして楽しむことができました。
けれど訳者の「解題」によりますと、それは間違いではないけれど、多重構造になっているこの作品の、最も表層しか見ていないことになるんだそうです。
別巻の「ドフトエフスキーの生涯」や「解題」を読んで、なるほど~と唸ったのですが、この作品は三重構造になっています。
ミステリ的な”物語層”
ドフトエフスキーの自伝的要素を含んだ”自伝層”
宗教や哲学論が述べられる”象徴層”
詳しく書いてるととんでもないことになるので書きませんが、確かにこの小説、ホントに盛りだくさんのテーマが詰め込まれ、それらが重層的に絡み合ってます。
この複雑な構造ゆえ面白く、そして読み解き難い小説なのかもしれません。
この重層構造を頭において読むと、もっと最初っから深く読めたのかもしれないな。ちぇ。
とにかく、色んな意味でお腹いっぱいにさせてもらいましたし、勉強にもなりました。苦労の甲斐はあると思います。
ま、また何年か後に読み返してみようか……な?(汗)
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