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【2024/04/27 17:18 】 |
村上春樹『1Q84』
★あらすじ
青豆:29歳女性。マーシャル・アーツのインストラクター。そして特殊能力を持つ、殺し屋。
1984年のある日、青豆は、渋滞の首都高速を徒歩で、非常階段を使って降りる羽目になる。その非日常的な体験の直後から、彼女は、自らが属する世界に、微妙な違和感を感じるようになる。
その違和感とは、警官の制服がいつの間にかリニューアルされていたこと、そしてその発端になったのが、カルトの銃撃事件という重大なものであったにも関わらず、青豆には憶えのないものだったということ。
それらの違和感は、むしろ彼女の記憶に障害があるのではないかとも解釈できるものごとではあったし、彼女を取り巻く身近な環境にはほとんど変化は無かったので、疑問を持ちつつも誰に相談することもできず、青豆はいつも通りの日常を送るしかなかった。
しかし彼女は、ある夜、空を見た瞬間、自分が今居る世界が、既知のものではないことを確信する。
彼女はこのズレた世界に「1Q84」と名前をつけた。

天吾:29歳男性。予備校数学教師。そして小説家修業中。
天吾は、メンターとも言うべき編集者の小松からの、危険な提案に戸惑っていた。その提案とは、天吾が下読みをしている文学新人賞のとある応募作を、ゴーストライターとしてリライトしないか、というものであった。
問題の作品は、17歳の少女”ふかえり”の書いた『空気さなぎ』という幻想的な小説で、物語性は非常に優れていたが、文章があまりに稚拙であった。小松はこの『空気さなぎ』を天吾が書き直せば賞もねらえるし、出版も可能であろうと言う。それどころか、ベストセラーも夢ではないと。
天吾は、詐欺まがいの文壇を貶めるような提案に拒絶反応を示すが、その一方で『空気さなぎ』という作品に抗いがたい魅力を感じ、それを職人的に書き直してみたいという、強い欲求も覚える。
悩み迷いつつも、天吾はとりあえず、作者のふかえりという少女に会うことにする。

★感想
あああああああ面白かった面白かった。ブログにも書きましたけど、ほぼ一気読みしちまいました。ああぁもったいない。ちなみに2冊で所要時間8時間ほどでしたが、どりはかなり速い……っつーか、相当速い方なので、しかも相当ハルキストなので、時間についてはあまり参考にしないで下さい(汗)それにしても、PCに向かってると、すーぐ目が疲れて頭痛がしてくるのに、本だと全然平気ってどういうこと(笑)

今作は、村上氏のド本流であります。孤独で淡々とした日常と、そこからわずかにずれた世界。現在に影響を与える過去。地下に潜む闇のシンボル。セックス。
それらのド本流要素がてんこ盛りで、嬉しかった~~。

今作でも、村上氏の得意なおなじみの技法がとられていて、2つの一見関連性のない2つのストーリーが、平行に流れていきます。
奇数章が青豆視点、偶数章が天吾視点。
最初はホント、2つのストーリーがどうつながるのかサッパリわかりません。でもbook1の後半くらいからちょっとずつ見えてくるんですよ。ストーリーはもちろん面白いんですけど、青豆と天吾がどこでどうつながってるのか、その興味にもぐんぐん引っ張られます。うーん、うまいなー、さすがハルキさんだなー(←世界的大作家捕まえて今更何を…)

読み口としては、氏の本流の作品の中では、軽目だと思います。『ねじまき鳥…』に比べたら格段に軽いし(どりが唯一、一気読みできなかった、村上作品の長編です/汗)羊シリーズや『海辺のカフカ』よりも軽いです。『世界の終わり…』よりもわずかに軽いかも。読み易いです。読みながら息切れしたり、胃が痛くなったりするようなことはありませんでした。ちょっと動悸はしましたけどね(←オイ)

あちこちで言いまくってますが、どりは村上氏の文章が大好きです。愛してます! 適材適所の言葉をどうやったらこんなにリズミカルに並べられるんだー!!
それから独特の比喩も、毎作すげー楽しみにしてます。今回も面白いのいっぱいありました。相方と共有の本でなければ、気に入った比喩全部に線入れたいくらい。
ともかく、村上氏の文章を、同じ言語で、同時代で読める自分が、とてもラッキーだと思えます♪

コレは色んな読み方のできる作品で、mixiのコミュとかでも解釈について盛り上がってるようですが、どりの意見はとりあえず述べないでおこうと思います。
ネタバレが怖いってのもあるんですが、多分今後何度も読み返すと思いますし、読み返すたびに新たな発見があると思うので、安易に語りたくはありません。
ただ今は、「リトル・ピープル」は何のシンボルなのだろう、と、ぼんやり考えています。

新潮社の紹介ページ
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【2009/07/06 23:41 】 | 純文学 | 有り難いご意見(1) | トラックバック()
ドフトエフスキー/亀山郁夫『カラマーゾフの兄弟』

★あらすじ
横暴な地主フョードル・カラマーゾフには3人の息子がいた。
長男のミーチャは天衣無縫な退役軍人。
次男のイワンはシニカルで無神論者のインテリ。
三男アリョーシャは清純で愛らしい修道士見習い。(主人公)

フョードルとミーチャは、グルシェーニシカという妖艶な美女を巡って争っていた。
フョードルは、グルシェーニシカに、
「自分と結婚してくれるなら三千ルーブルをやろう!」
と言い出し、自宅にそのお金を用意して、グルシェーニシカを待つ。

そんなある夜、フョードルが殺され、三千ルーブルが奪われる。
状況証拠はミーチャを犯人と指し示すが、果たしてそれは真実なのか?


★感想
ずーーっと読んでみたかったけれど、長さと内容にひるみ続けていた『カラ兄』やっと読破しました(;´Д`)'`ァ'`ァ
勝手に創作の師のひとりと仰いでいる村上春樹氏なんかは、
「本を読む人には2種類ある。『カラ兄』を読んでいるか、読んでいないかだ」
とまでおっしゃっている大名作なわけで、やっぱこりゃ読まないわけにはいかんだろうと、ずっとひっかかっていた作品でもあります。
大変評判の良い、光文社古典新訳文庫版(全4巻+エピローグ別巻)が完結したタイミングと、自分の入院予定がちょうど合致したってのもありまして(爆)いよいよ手を出しました。
いやいや評判通り、さすが新訳と謳うだけのことはありますよ! 何と読みやすい!!
それでも読破に半年近くかかりましたけどね(^_^;)でも主にひっかかってたのは別巻の「解題」で、本編は結構サクサクいけます。(もちろん半年間こればっか読んでたわけじゃないッスよ)
そして何よりありがたかったのが、しおりの登場人物表!(ミステリの文庫に良くあるヤツです)でも、それでも混乱しそうだったので、オリジナル人物相関表を作りながら読みましたが。なんでロシア人の愛称って、本名とあんなにかけ離れてるんでしょうね。ぶつぶつ。

ところで、上記のあらすじを読むと、
「ミステリなの?」
と思われる方が多いでしょう。(要約が怒られそうなくらい簡単すぎるってのもありますが_| ̄|○)
ええ、確かにストーリーはミステリです。どりもミステリとして楽しむことができました。
けれど訳者の「解題」によりますと、それは間違いではないけれど、多重構造になっているこの作品の、最も表層しか見ていないことになるんだそうです。
別巻の「ドフトエフスキーの生涯」や「解題」を読んで、なるほど~と唸ったのですが、この作品は三重構造になっています。

ミステリ的な”物語層”
ドフトエフスキーの自伝的要素を含んだ”自伝層”
宗教や哲学論が述べられる”象徴層”

詳しく書いてるととんでもないことになるので書きませんが、確かにこの小説、ホントに盛りだくさんのテーマが詰め込まれ、それらが重層的に絡み合ってます。
この複雑な構造ゆえ面白く、そして読み解き難い小説なのかもしれません。
この重層構造を頭において読むと、もっと最初っから深く読めたのかもしれないな。ちぇ。

とにかく、色んな意味でお腹いっぱいにさせてもらいましたし、勉強にもなりました。苦労の甲斐はあると思います。
ま、また何年か後に読み返してみようか……な?(汗)
http://www.kobunsha.com/shelf/search/book?freewords=%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%BE%E3%83%95&series=300002

 

 

【2008/01/09 15:31 】 | 純文学 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
古処 誠二『遮断』新潮社
戦争の話を読むのはつらいけれど、
目を逸らしてばかりはいけないものであると、思っています。

【あらすじ】
『遮断』は最末期の沖縄戦を舞台にしています。
沖縄人である主人公の少年は徴兵された部隊から脱走し、
部落の人たちが避難する亀甲墓へと帰ります。
しかし、脱走兵を受け入れる余裕はそこにはなく、
少年は、幼なじみの女性とふたりで、
すでに前線となっている部落へ戻るよう命じられます。
その女性は、避難の際、子供とはぐれてしまい、
その辛さの余り精神のバランスを崩していたため、
部落の人々にとってはやっかい者だったのです。
つまり、子供を捜しに行くという名目で、
その女性を、避難所から連れ出して欲しいと。

【感想】
古処氏の本を読むたびに暗くなるんですけど、
でも読みたいのです。
つらくて、とても一気読みはできないんですけど、
でもページをめくってしまう。
戦争の悲惨さってヤツは痛いほど伝わってくるし、
ミステリとしても、どんでん返しまで用意してあり、
最後までしっかり読ませます。
「未来を前借りした戦争」という言葉が印象に残りました。
正に、現在の沖縄はそうなってますよね……
http://www.shinchosha.co.jp/book/462902/
【2007/04/23 15:30 】 | 純文学 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
伊集院静『機関車先生』集英社文庫

 偕成社文庫を中心に、児童文学を、何のけれんもなく、ただひたすら読みふけっていた、正しい文学少女だった頃を思い出しました。理不尽な現実を徐々に認識しつつも、本の中ではメルヘンを素直に受け入れ、本の中のような澄みきった世界が日本のどこかにきっとあるんだ、と素直に信じていた頃の感動を、ちょびっとだけ取り戻せたような…。小学校高学年の、思春期に入る前の自分に読ませたい。

 昭和三十年代の、瀬戸内の美しい島という舞台は、いかにもって感じだし、ステロタイプなエピソードとキャラクターばかりなのに、いえ、だからこそ、懐かしくて、せつない。

 こういういかにも性善説っぽいのを読むのは久しぶりだったので、もしかしたら途中でアレルギー起こすかも、と恐れつつ手をつけたのですが、最後まで一気に読んでしまったし、ラストでは泣いてしまいました。

 そんな自分が照れくさい。

 でも、たまには素直に感動してみるのもいいじゃないか、みたいな、そんな作品だと思います。

 それにしても、大活字&ふりがな版がこれほど読み辛いとは、私も大人になったものだなあ(笑)
http://www.ijuin-shizuka.com/book/list/bunko.htm

【2007/04/23 14:52 】 | 純文学 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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