★あらすじ
平安時代の貴族に連なるといわれる南業平の旧家鬼田山家。
その離れでは不可解な失踪事件が起きた。当主の母、久乃がそこに内鍵をかけて引きこもったあげく、密室状態の部屋から失踪してしまったのだ。
実はその離れでは、過去3回同じような事件が起きていた。前当主壮治郎、壮治郎の先妻の娘志子も、類似の状況で消えていた。但し、壮治郎だけは一ヶ月後、隅田川から水死体で発見されている。
そしてそれらの不思議な失踪事件が起きる前後には、鬼田山家の敷地内や周辺で、一つ目の鬼が現れるという。それを鬼田山家では「一つ目の鬼の呪い」として恐れている。
薬学雑誌記者の西田は、同僚の篠原朝美や、隣人である「毒草師」御名方史紋と共に、警察とは別の視点で事件を追う羽目になる。
しかし、一向に解決の糸口が見えないうちに、当主である柊也が廷内で、謎の毒物で殺されてしまい……
★感想
QEDシリーズで最近売り出し中(?)の「毒草師」御名方史紋が探偵として大活躍しております。
QEDシリーズでも気になってたんですが、いやいや、史紋、変なヤツでとってもイイですよ。能面のような無表情・長髪・白衣と見まごうばかりのロングコート・深紅の手袋、というこのビジュアルからすでに、彼の傍若無人なマイペースぶりがうかがえようというものです(もしかして京極堂の向こうを張ってる?)
しかし、嫌なヤツかというとそうでもない。不幸体質の西田くんに胃薬を調合してあげたりする優しさもあったりします。
クールな男性がちらりと見せる優しさって、いいですよね~(ちょっと違う?)
……ってキャラ萌えだけでなく、ミステリとしても面白かったですよ。トリックは事件のメインではなく、鬼田山家の因縁を暴くのがメインの謎解きです。
いわゆる旧家の因縁モノであるわけなんですがそこは高田さん『伊勢物語』や某国宝!と絡ませたりして、歴史的感興もたっぷり誘われます。
http://www.gentosha.co.jp/search/book.php?ID=101645
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