★あらすじ
その世界では人が死ぬとそのそばに「月導(つきしるべ)」というものが出現する。「月導」のカタチはオブジェや絵画、岩や植物などの物質だったり、虹や雨などの自然現象だったり、香りや温度などの感覚的なものだったり様々だが、それらには一様に、死者の臨終直前の思いが込められている。その思いを捉えることのできる特殊能力の持ち主を「月読(つくよみ)」と言う。
うらぶれた地方都市の結浜市に住む高校生克己は、クラスメートの炯子の家で起きた殺人と放火事件に巻き込まれ、否応なく調べる羽目になり、その過程で自らの出生の秘密に触れることになる。
結浜市警刑事の河合は、姪が殺された強姦殺人事件と、炯子の家の事件の調査を進めるうちに「月読」の朔夜一心と知り合う。一心は捜査協力の代償として、子供の頃に失われた結浜市での記憶と、行方不明の育ての親の捜索を河合に依頼する。
克己と河合、そして朔夜は炯子の家の焼け跡で出会い、殺人事件の被害者の月導を読み……
★感想
月導ってヤツはいかにもダイイングメッセージとして役に立ちそうな感じですが、月読が読み取った月導の情報は、裁判などの証拠にはならないんだそうです。数日で消えてしまう場合もあるという設定ですし。作品中の事件でも、月導の情報は手がかりではありますが、ミスリードでもある。この「月導」というパラレル設定に早いうちに慣れないと読み難いかもしれませんが、でも、とても美しい話です。キャラも美形が多く、青春要素もあります。
ラストには、作品中にちりばめられていた大小の謎が、一つの真相が明らかになることで、一気にスッキリしますので、カタルシスはなかなかのものです。
でも、朔夜の秘密(楽しい方の秘密)は別に無くてもいいんじゃないか……とかちょっと思ってしまった( ・ノェ・)コッソリ
http://www.bunshun.co.jp/book_db/3/23/69/9784163236902.shtml
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