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★あらすじ(表題作より)
私はユニバーサル横メルカトル図法の道路地図でございます。タクシー運転手であるご主人に長らくご愛用いただき、秘密を共有することを喜びとして参りました。そして〈遮蔽〉や〈誇張〉などの我々地図族だけが許された、カーナビなどという下等な機械には不可能な特殊技能により、ご主人様の手助けをして参ったのでございます。 しかし、ご主人様がある日ご病気で急死なされ、私はご子息に受け継がれることと相成りました。そう、ご主人様の秘密と共に…… ★感想 平山夢明さんは「怖い話」シリーズの編者でもあります。そうなんです、ホラー作家なのです。ですからこの短編集もホラーなんです。 でも、2007年版「このミス」国内編1位、2006年度日本推理作家協会賞受賞作なんですよ。 確かに、ミステリーに読めないこともないです。物語中に謎が提示され、そして解かれる、というミステリの基本形式は満たしています。仕掛けやひねりもきいてます。 ですが! この短編集のすごさはそこではないと思うわけです。 ホラーはあまり読みつけないので(ホラー要素ありのミステリは多いですから、それなりに慣れてますが)スカトロ・拷問・殺人・カニバリズム・児童虐待・死体損壊等々……鬼畜系残虐要素盛りだくさんにクラクラしました。気持ち悪くなったりはしませんでしたけど。 けれど、ホラー慣れしていないどりにも一気読みさせる何かがこの短編集にはありました。 すんごいブラックでエグいんですが、それでも何だか静かな透明感があるように感じたのです。 陳腐な表現で申し訳ないですが、やはり人間の暗黒面の「本質を突いてる」ってことになるんでしょうかねえ。 ホラーに多少なりとも免疫のある方は、挑戦してみて損はないと思います、多分。 光文社の紹介ページ PR |
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