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二階堂黎人『鬼蟻村マジック』
★あらすじ アンタレス旅行社の企画部課長代理・水乃紗杜瑠30歳は、長身の美青年。常にイタリアンブランドのスーツを着こなし、何台もの外車を乗り回している。そんな彼の外観に釣られて寄ってくる女性は後を絶たない。 しかしそんな彼の実態は、むやみやたらに多趣味なちゃらんぽらんのオタク以外の何者でもない…… ある日、会社の先輩・臼田竹美が、珍しく残業中のサトルに、突然頼みごとをもちかけた。 「水乃くん、今週末、実家に一緒に行ってくれないかしら? 私の婚約者として」 突然の依頼に驚いて尋ねれば、竹美の本家・上鬼頭家は古い造り酒屋で、その所在地、長野県の鬼蟻村では村一番の分限者であるがゆえ、見合い話が勝手に進められており、それを阻止するためにサトルを婚約者ということにして、親族に紹介したいというのだった。 更に、鬼蟻村では、鬼神様と呼ばれる鬼神をまつっており、つい最近、鬼神様の御札による、上鬼頭家に関する不吉な予言があったのだという。 そればかりではなく、戦中の話ではあるが、軍人が上鬼頭家の屋敷内で鬼神様に扮した狼藉者に斬り殺されるという事件があったのだという。その犯人は屋敷内に追い詰められたのに、煙のように消えてしまい、不可思議な事件として村で語り継がれている。 竹美は、お見合い話の防壁としてサトルを婚約者として仕立て上げると同時に、彼の趣味のひとつである探偵としての能力に期待し、御札と戦前の事件の謎を解くことを求めたのであった。 仕事の〆切が迫っているからと、一度は依頼を断ったサトルであったが、実家に大切に保管してあるという竹美のコレクション……リカちゃん人形の箱まで揃った完品群……につられ、結局は鬼蟻村へと向かうことになり…… ★感想 探偵水乃サトルシリーズ最新巻であります。 二階堂氏の作品は、蘭子シリーズの重くて大時代がかったのも面白いですが、サトルのシリーズも、大好きッス。トリックやストーリーは本格なのに、サトルのおかげでひっきりなしに笑えるんですよー。楽しかった~♪ 今作、トリック自体はそれほど目新しくはないですが、工夫してひねってありますし、横溝正史ばりの因縁ズルズルの旧家に、怪しいキャラの数々(作者も横溝作品を連想して欲しいらしく、何度も作中で引き合いに出しています)、こういう設定って、やはりミステリファンとしてはワクワクです。 しかも舞台が造り酒屋なので、とっても勉強になりました(笑 原書房の紹介ページ PR |
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★構造説明
事件関係者を同じくする中編ふたつと、それをつなぐ幕間の短編で構成された長編。 ★あらすじ(第1部「猿の左手」より) 大阪港で海に転落した車の中から、溺死体が見つかる。警察は、自殺or事故の線で始めは捜査していたのだが、次第に不可解な点が明らかになり、他殺の線でも洗い始める。 犯罪社会学者・火村英生と、助手で推理作家の有栖川有栖も、大阪府警の要請で事件の調査にあたることになった。 被害者は、事業の失敗による借金で悩んでおり、自殺の線も充分ありえたが、彼を取り巻く環境から、何名かの容疑者が上がってくる。まずは保険金受け取り人である被害者の妻。それから金を貸していた妻の友人とその養子。 しかし、彼らにはそれぞれ鉄壁のアリバイや、車や海を使っての犯罪には関われない理由があり…… ★感想 待ってました! のヒムアリシリーズ長編です。 1部「猿の左手」と、幕間を挟んだ、2部「残酷な揺り籠」には、同じキャラが事件関係者として上がってきます。 その共通する“強敵”(とオビに書いてある)のキャラがすごいんです。美しいっちゅーか、お耽美っちゅーか、男の夢っちゅーか、はたまた女の夢っちゅーか…… このキャラを思いつかれた段階で、アリス先生の勝ちやね!(って、誰と勝負してるかは不明ですが) そして気になるのは、新キャラの聡明な女刑事……これからヒムアリとどのような関係になっていくのだろう ![]() 光文社の紹介ページ |
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★あらすじ(表題作より)
幻想画コレクターの富豪の屋敷で事件が起きた。主がギャラリーで昏倒し、自慢の逸品であるアンリ・プレサック「壁抜け男」が盗まれた。 しかし、防犯ベルのおかげで家人や客たちが早々に駆けつけ、犯人は屋敷の庭にある迷路(なかなか本格的なもの)に追い詰められ逃げ込んだ。 警察の到着も素早かったので、犯人は迷路の中で逃げ場を失い、絵を抱えてうろうろと迷っているはずであった。 しかし…… 迷路をくまなく捜索しても、犯人は見つからなかった。ただ絵だけは迷路の中に放り出されるように残されていた。 犯人はどこに消えた? そして一体誰の仕業なのか? ★感想 有栖川有栖の、シリーズ外短編集です。 表題作のような犯人当てのパズル話から、近未来SF、官能小説! まで盛りだくさん16編。 どり的には、官能小説「恋人」が良かった! いやあ色っぽい。 ぶっちゃけロリータネタで、全然R18じゃないんですけど(ミステリでもない)充分エロティック。 アリス先生のしっとりした文体は、この手の物語にも合うのかもしれんです(・∀・) それからSF「ジージーとの日々」も可愛くてホロリときました。 ヒムアリもエガアリも出ませんけど、楽しかったですー。 角川の紹介ページ |
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★あらすじ 不気味ささえ感じさせる個性的な女性達に話を聞いているうちに、沢崎は、かねてから気になっていた叡人の死亡についても調査する機会を得る。 そこへ、叡人の隠し子だと名乗る女性が現れる。そもそも沢崎は、キアラにその隠し子について調べるように依頼を受けていたのだ。 ★感想
〈謎が解かれたときに、そうしたおどろおどろしい要素はすべて謎の構築に奉仕していたのだということが明らかにされ、お化け屋敷は余さず解体されて、土台石まで白日の下に晒されるのが本格ミステリ。 なんだそうです。ふむふむ、納得。 この作品も、最後まで読んでも謎は残ります。 |
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★あらすじ(表題作より)
私はユニバーサル横メルカトル図法の道路地図でございます。タクシー運転手であるご主人に長らくご愛用いただき、秘密を共有することを喜びとして参りました。そして〈遮蔽〉や〈誇張〉などの我々地図族だけが許された、カーナビなどという下等な機械には不可能な特殊技能により、ご主人様の手助けをして参ったのでございます。 しかし、ご主人様がある日ご病気で急死なされ、私はご子息に受け継がれることと相成りました。そう、ご主人様の秘密と共に…… ★感想 平山夢明さんは「怖い話」シリーズの編者でもあります。そうなんです、ホラー作家なのです。ですからこの短編集もホラーなんです。 でも、2007年版「このミス」国内編1位、2006年度日本推理作家協会賞受賞作なんですよ。 確かに、ミステリーに読めないこともないです。物語中に謎が提示され、そして解かれる、というミステリの基本形式は満たしています。仕掛けやひねりもきいてます。 ですが! この短編集のすごさはそこではないと思うわけです。 ホラーはあまり読みつけないので(ホラー要素ありのミステリは多いですから、それなりに慣れてますが)スカトロ・拷問・殺人・カニバリズム・児童虐待・死体損壊等々……鬼畜系残虐要素盛りだくさんにクラクラしました。気持ち悪くなったりはしませんでしたけど。 けれど、ホラー慣れしていないどりにも一気読みさせる何かがこの短編集にはありました。 すんごいブラックでエグいんですが、それでも何だか静かな透明感があるように感じたのです。 陳腐な表現で申し訳ないですが、やはり人間の暗黒面の「本質を突いてる」ってことになるんでしょうかねえ。 ホラーに多少なりとも免疫のある方は、挑戦してみて損はないと思います、多分。 光文社の紹介ページ |
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