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【2025/07/06 10:14 】 |
篠田真由美『美しきもの見し人は』

★あらすじ
ライター兼調査員の沢崎は、今は亡き孤高のカトリック教文学者・蘭堂叡人の評伝の取材をするために、彼が最晩年を過ごした長崎県の孤島、波手島を訪れた。
波手島は、隠れキリシタンが明治の世になるまで信仰を守り続けてきたことで有名な島である。
波手島には現在、蘭堂叡人の財産相続人である義妹の蘭堂キアラと、その使用人などの数名の女性たちだけが、叡人の残した館に住むばかりであった。

不気味ささえ感じさせる個性的な女性達に話を聞いているうちに、沢崎は、かねてから気になっていた叡人の死亡についても調査する機会を得る。
女性達が言うには、叡人は、閉ざされた書斎から姿を消した……昇天したと言うのだ。

そこへ、叡人の隠し子だと名乗る女性が現れる。そもそも沢崎は、キアラにその隠し子について調べるように依頼を受けていたのだ。
沢崎の目には、その女性はいかにも偽物のように見えた。
しかし、その女性が現れ、叡人が消えてから10年も閉ざされ続けていた書斎を暴いたその夜、殺人事件が起こる……

★感想
『すべてのものをひとつの夜が待つ』に続く、ゴシック・ロマンシリーズなんだそうです。
ゴシック・ロマンスってのは、本格ミステリのルーツなのだそうです。
迷宮のような館、不気味な住人たち、謎たっぷりの死、不可能趣味、秘密を抱えた主人公、オカルティズム……そんな要素を抱えたおどろおどろしい雰囲気の謎解き話ってことになりましょうか。


本格ミステリと、ゴシックロマンの違いを、あとがきからそのまま引用させて頂きますと、

〈謎が解かれたときに、そうしたおどろおどろしい要素はすべて謎の構築に奉仕していたのだということが明らかにされ、お化け屋敷は余さず解体されて、土台石まで白日の下に晒されるのが本格ミステリ。
 謎が解かれてもなお、お化け屋敷のまとう悪夢、言い換えれば魅惑が解体されきれないまま残るのがゴシックロマンス。〉

なんだそうです。ふむふむ、納得。

この作品も、最後まで読んでも謎は残ります。
スレた本格ミステリマニアとしては、
「ええっ、どうしてこの人が生き残ってたの?」
とか思っちゃうんですが、それはそれ、お化け屋敷のまとう悪夢は多少残されていた方がロマンチックなことは確かですよね。想像力も働きますし。
とは言ってもこの作品、スッキリ解決される謎もありますから、解決時のスリルやカタルシスも充分に味わえます。
特に、隠れキリシタンの研究成果の話が、叡人の死の謎と結びついた瞬間は、ゾクゾクしました~。

 光文社の紹介ページ

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【2008/06/06 18:14 】 | 国内ミステリ | 有り難いご意見(1) | トラックバック()
平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』
★あらすじ(表題作より)
私はユニバーサル横メルカトル図法の道路地図でございます。タクシー運転手であるご主人に長らくご愛用いただき、秘密を共有することを喜びとして参りました。そして〈遮蔽〉や〈誇張〉などの我々地図族だけが許された、カーナビなどという下等な機械には不可能な特殊技能により、ご主人様の手助けをして参ったのでございます。
しかし、ご主人様がある日ご病気で急死なされ、私はご子息に受け継がれることと相成りました。そう、ご主人様の秘密と共に……

★感想
平山夢明さんは「怖い話」シリーズの編者でもあります。そうなんです、ホラー作家なのです。ですからこの短編集もホラーなんです。
でも、2007年版「このミス」国内編1位、2006年度日本推理作家協会賞受賞作なんですよ。
確かに、ミステリーに読めないこともないです。物語中に謎が提示され、そして解かれる、というミステリの基本形式は満たしています。仕掛けやひねりもきいてます。

ですが!
この短編集のすごさはそこではないと思うわけです。
ホラーはあまり読みつけないので(ホラー要素ありのミステリは多いですから、それなりに慣れてますが)スカトロ・拷問・殺人・カニバリズム・児童虐待・死体損壊等々……鬼畜系残虐要素盛りだくさんにクラクラしました。気持ち悪くなったりはしませんでしたけど。
けれど、ホラー慣れしていないどりにも一気読みさせる何かがこの短編集にはありました。
すんごいブラックでエグいんですが、それでも何だか静かな透明感があるように感じたのです。
陳腐な表現で申し訳ないですが、やはり人間の暗黒面の「本質を突いてる」ってことになるんでしょうかねえ。

ホラーに多少なりとも免疫のある方は、挑戦してみて損はないと思います、多分。 

光文社の紹介ページ
【2008/06/06 18:05 】 | 国内ミステリ | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
藤木稟『バチカン奇跡調査官』
※最初にお断りしておきます。
敬虔なカトリックの方がもしこの記事に迷い込まれてしまわれました場合、回れ右された方がよろしいかと存じますm(__)m
てか、そういう方はおそらくタイトルだけで引かれてるとは思いますけれど、念のため……


★あらすじ
バチカン奇跡調査官の平賀・ヨゼフ・庚と、ロベルト・ニコラス両神父は、奇跡申請の調査にアメリカの修道院に出向くことになった。
その奇跡とは尼僧の「処女懐胎」というカトリックでは絶対に認めることのできない内容のものであり、普通ならば姦淫を犯してしまった罪悪感からくる妄想であると一蹴すべき種類のものである。しかし、敢えてそれを調査に出向くように命じられたのは、その奇跡の裏に、バチカン=カトリックの暗黒面……派閥争いや金絡みの裏社会との繋がりなどが潜んでいると上層部が読んだからである。
ふたりは早速アメリカ南部のセントロザリオ学園へと飛んだが、到着早々、神父の殺人事件が起こり……

★感想
神父さんて萌えですよね。何でだろ。
実際BLのキャラにしてらっしゃる方大勢いらっしゃいますもんねえ。
基本は『薔薇の名前』ですかね? ええ大好きです(笑)
やはり腐の範疇ですか、この萌えは?

神父さんてだけで萌え要素は満載ですが、この作品の設定は更にすごい。
探偵役の平賀神父は、天才科学者で女顔の美青年、しかし生活能力は皆無。
ワトソン役のロベルト神父は長身の黒髪ラテン、古文書研究家(てかオタク)そして平賀が大好き。
扉絵のTHORES柴本さんのイラストがまた萌えを煽りますよ。床ローリングものですよ。
そんでもって舞台になる修道院には、付属学校まであるんですよう。もちろん全寮制男子高(;´Д`)'`ァ'`ァ

藤木稟さん、萌えキャラを作られるのが本当に上手いと思います。
藤木さんと言えばやはり「朱雀シリーズ」でしょうが、このシリーズの盲目の美青年探偵朱雀十五も萌えですよね! 性格が悪いあたりが特に。大戦前夜という時代設定も好きだ~。

と、萌え語りばっかりしてきましたが、ミステリとしても面白いです。もちろん。
殺人事件は、殉教者の死に様をなぞった神父連続殺人事件へと発展していきます。
ふたりの調査が進むにつれ、修道院の怪しさと謎もどんどん深まり、怪しいキャラも増えていき、ホラー的なドキドキも高まり、オチは藤木さんらしい、あっと驚く大仕掛け!
あり得ない~! と思いつつも、ドキワクしましたー。



角川書店の紹介ページ
【2008/05/08 16:06 】 | 国内ミステリ | 有り難いご意見(1) | トラックバック()
東野圭吾『容疑者Xの献身』
★あらすじ
ふたり暮らしの花岡靖子と美里母子は、しつこくつきまとう前夫を弾みで殺してしまう。当然自首を考える靖子だが、美里も殺人に荷担しているために踏み切ることができない。
そこへアパートの隣室に住む、高校教師で数学者の石神が突然やってきて言う。

「警察に届けるということなら、何もいいません。でも、もしそのつもりがないのなら、何かお手伝いできることがあるんじゃないかと思いまして」

靖子は、石神が自分に好意を抱いていることに気づいていたので、彼の申し出を受け入れる。

「事件が起きたことを隠すか、事件とお二人の繋がりを切ってしまうか、のどちらかだね」

「私の論理的思考に任せて下さい」


★感想
今秋に映画化の、探偵ガリレオシリーズの長編。
石神とガリレオ湯川が、大学時代の学問仲間だったという設定です。

コレ、各賞総なめの名作なのでずっと読みたかったのですが、まずはシリーズの先行作品を読破しなければならないですし(マニアですから)そんなことしてるうちに文庫になるかもしれないし……
と思ってたですが、いつまでたっても文庫化されない~~(泣)
図書館で借りようとしても、いつ行っても予約が入ってる状況><
やっぱ人気あるんだなあ、諦めてハードカバー買うか……と思い始めていたんですが、なんといきつけの古書店で発見!!
ああああ嬉しい。

さて。

上のあらすじだけで結構ドキドキもんだと思うんですが、これでも冒頭40pくらいをまとめただけなんですよう。
石神の仕掛けに振り回される警察、そして草薙刑事たちとは別ルートで真相に肉薄していくガリレオ湯川、というのが本筋です。非常に読みやすいんですが、内容はすごい濃いです。トリックや欺瞞が盛りだくさん。
ものすごい騙されました。丁寧にじっくり読む注意深い方なら何となく気づくのかもしれないですが、恐怖斜め読み女には最後まで全然わからなかったー!
メイントリックの手がかりが意図的に隠されているから本格ミステリじゃないよ、という指摘もあって、マニア的には賛否両論だったりするらしいんですが、どり的には全然OKでした。だって面白いんだも。
ここまでがっつり騙されると、むしろ爽快。

それからなんつーか、このシリーズにしては文系的ってか、情緒的な作品だと思いました。
言ってしまいましょう、純愛物です。
人は、愛する人のために、どこまで献身できるのか? 
ラストシーン、どり的には○カチューより(ピカチ○ウにあらず)ぐっときたかもです。

文春の紹介ページ
【2008/03/12 11:22 】 | 国内ミステリ | 有り難いご意見(1) | トラックバック()
法月綸太郎『犯罪ホロスコープⅠ 六人の女王の問題』
★あらすじ(表題作より)
人気ライターの虻原が、マンションから転落死した。そのマンションには、長年虻原との確執を抱えた俳優が住んでいた。状況証拠はその俳優を犯人と指し示すように見えた。
しかし虻原は転落死の直前、雑誌の連載コラムに妙な俳句もどきを2首遺していた。「6人の女王にたずねるがいい」という謎のメッセージをつけて。


★感想
悩めるシリーズ探偵、法月綸太郎の、星座をテーマにした短編集。この本には、牡羊座~乙女座の黄道十二宮前半星座6作品が収録されています。表題作は牡牛座がテーマです。後半星座もいずれ出るらしいです。

法月さん本人が、見返しの著者のことばでおっしゃってますように「六つの星座に六つの謎---気楽に読んで愉しめる、そして後にはいっさい何も残さない、そんな娯楽奉仕に徹したミステリー集」です。
うん、おっしゃる通り、シンプルにパズル的な推理を愉しめる短編集です。長編のように、どすぐろ~い気分になったり、ホラー的な描写も、悩める綸太郎も殆どありません。どの作品も、安心して推理に没頭できます。
どれもトリック的には目ウロコで、表題作も( ・∀・)つ〃∩ ヘェーヘェーヘェーって感じでしたが、頭の悪いどり的にはちょっと難しかったです><パズルの好きな方なら大喜びだと思いますが。
個人的には「ヒュドラ第十の首」(蟹座)が一番印象深かったかなあ。手袋の謎が解けた瞬間、うわーそういうことか納得ぅ、とハタと膝を叩きたくなる感じ(いや実際には叩いてませんけど)。

これはこれで面白いので後半星座も期待してお待ちしますが、でもやっぱり『生首にきいてみろ』みたいなずっしり黒いのがまた読みたいですよ。よろしくお願いしますよ(←誰に言ってる?)

光文社の紹介ページ
【2008/03/12 10:39 】 | 国内ミステリ | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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